デントリペアのデメリット

ペイントレス・デントリペア(PDR)は、板金塗装の様にどんなヘコミでも直せるというわけではありません。塗膜のキズなどはそのまま残ってしまいます。

車の構造によっては、僅か数ミリ位置が変われば修理できない場所もありますので、お店や技術者の判断次第で『仕上がり精度』や『修理可否の判断』は大きく異なります。的確な修理の判断は、絞り技術を習得した『ライセンス認定技術者』への相談が必須となります。

デメリット一覧

  • ・車の構造や条件次第で『修理できない場所』『直せないヘコミがある』
  • ・パネルが『限界以上に延びたヘコミは綺麗に直らない』
  • ・『樹脂製のバンパー等の凹みは綺麗に直せない』
  • ・塗装しないので、塗膜の傷み『キズ・欠け・割れ・はがれ等はそのまま残る』
  • ・致命的な失敗をしたら『手直し(再修理)不可能』(再塗装やパネル交換しなければならなくなる)
  • ・お店(技術者)選びが難しい(ラインボード対応店が少ない)

条件によっては修理が出来ない

【ツールが入らない位置の条件が悪いヘコミは直せない】
デントリペアは、ツールが入らない位置のへこみでも、裏から押さないで表からの作業のみで直す『プーリング』で修理が可能ですが、 『ツールが入らない箇所に出来た鋭いヘコミ』等、条件が悪ければ修理が出来ない事があります。

【パネル端の重なった部分は綺麗に直せない】
パネル端の鉄板が折れ重なった『ヘミング加工』部分にあるヘコミは、裏から押す事が困難なので綺麗に直らない事があります。 パネル端の近くにへこみがある場合は、鉄板の重なりのところが山折れになっている事があり、現状より目立たなくなる事がほとんどですが、綺麗に直る事もあれば違和感が残る事もあります。

【限界以上に延びたヘコミは綺麗に直せない】
激しい鉄板の延びは、高熱を加えて縮める必要がありますが、その際オリジナルの塗装が焼けてしまいますのでデントリペアでは修理不可能となります。 無理やり直しても、延びた部分の鉄板が完全に平らにならずに目立つ歪みが残ったりしますのでデントリペアで綺麗には直せません。

通常の延びはデントリペアの絞りが可能。

【樹脂製のバンパー等の凹みは綺麗に直せない】
プラスチック樹脂製のバンパー等は裏から押す事で、ある程度の変形を戻す事は可能ですが、折れや変形が元通りには戻りにくいという事と、 樹脂の柔軟な変形に塗装が耐えられずに割れたりはがれたりする事が多く、基本的にはデントリペアでは綺麗に直せないという判断になります。 バンパーの樹脂が反転している様な凹みの場合は、変形してすぐに適切な処置を行う事でかなり綺麗に戻る事もあります。

塗膜の傷み『キズ』『欠け』『割れ』『はがれ』等は直せない

傷や塗装の欠けを伴う様な深いヘコミでも技術次第で直す事が可能ですが、 塗装表面の『キズ』『欠け』『割れ』『はがれ』等はそのままの状態で残ってしまいます。 浅い傷であれば磨く事でかなり目立たなくなる場合もありますが、欠け・割れ・剥がれはタッチペンなどの補修となります。

お店(技術者)選びが難しい

デントリペアは、『DIYレベルのデントリペア』~『クイックデントリペア』~『ペイントレスデントリペア』まで、素人の方から絞り技術が可能なプロの方まで、様々な技術レベルのお店が【デントリペア店】として混在しているため、お店選びが非常に困難です。

技術者次第で修理出来る出来ないの判断が異なる デントリペアは、『やり直しが困難』な特殊なリペアですので、修理可否の判断はとても複雑です。ヘコミの状態にもよりますが、技術者の習得したノウハウに大きく左右されますので、直せるかどうかは技術者によって異なります。

仕上がりの基準がバラバラである デントリペアは、目立たなくなるとキレイに直ったように見える錯覚が起こりやすいので、元通りに直す為には繊細な基準を映した確認が必要です。景色・ライト・ラインボードなど、それぞれの確認方法次第で仕上がり精度が大きく異なるので注意が必要です。

本格的なPDR技術を習得した技術者が少ない デントリペアは、一見簡単そうに見えて実は奥が深い難しい技術です。単純なへこみ一つでも修理痕を残さずキレイに直す事は大変ですが、難易度の高いヘコミを修理するには相応の技術ノウハウをじっくり習う必要があります。独学や従来の情報をによる経験だけでは技術の習得が困難なことにより、本格的なデントリペアが可能なお店は全国でも限られています。

デントリペアのメリット

そんなデメリットがあったとしても、それ以上に魅力的なメリットが多数あるのがデントリペア。 合理的なヘコミ修理方法ですので、万が一へこんでしまった場合でもデントリペアで綺麗に直せるヘコミであればとてもお勧めの修理方法です。

メリット一覧

  • ・新車時の塗装をそのまま残して、元通りに近い『綺麗な修理が可能』
  • ・パテ付けや再塗装をしないので、『パテ痩せや色違いなどの心配が無い』
  • ・同じ場所や近い位置にヘコミが出来ても、ほとんどの場合は『再度デントリペアが可能』
  • ・修理跡が残らないので、下取りチェックがつかず、『査定減額を防ぐことが可能』
  • ・ルーフパネル等に大きな(多く)ヘコミが出来ても、交換をせずに直す事で『事故・修復歴が付かない』
  • ・修理工程を最小限に抑えて『作業時間を短縮出来る』
  • ・塗料による有機溶剤やパテ等の粉塵が出ませんので、『自然環境に優しい』
  • ・塗料・パテ・その他の材料や設備等を大幅に省くことにより、『低価格を実現』

『高品質・キレイ』なへこみ修理が可能

デントリペアは、新車時のオリジナル塗装をいかして直す事が出来るとても優れたメリットがあります。

パテやサフェーサ等の下地が入りませんので、乾燥による痩せ(凹凸や荒れ)が出る心配がありません。
また、色違いの心配が無く、塗膜表面の経年変化も凹む以前と同様で、適切なデントリペア技術を習得した者が施工すれば、査定でチェックが入らない綺麗なへこみ修理が可能です。

万が一雹災害や落雪、その他の原因でルーフ等の重要なパネルに大きなへこみが出来ても、交換を行わず綺麗に直せれば、事故・修復歴などが付かないのでお勧めです。

『短時間・早い』へこみ修理

再塗装を行う前提の板金塗装では必要不可欠な、『鈑金整形パテ乾燥』『塗料の乾燥』等の修理工程がありますが、 デントリペアでは、様々な時間のかかる作業を最小限に抑える事で作業時間の短縮が可能となります。
これによって、『短時間で早い』修理を実現しました。

『低価格・安い』を実現可能

デントリペアは、ほとんどの場合価格でもメリットがあります。
デントリペアで良くあるヘコミの大きさで考えた場合、板金塗装の同額以下で直る事が考えられます。
板金塗装は時間も手間もかかる為、高いのではなく適正価格(場合によっては安すぎるほど)なのですが、 デントリペアは塗装をいかす技術を追求して特化する事で、様々な設備や材料費を最小限に抑える事が可能です。

大きいヘコミや難しいヘコミ等、TRUSTデントリペアが必要な場合は、修理の内容次第で板金塗装よりも高くなることもありますが、 オリジナルの塗装をいかせますので、とてもメリットがあると考えられます。

オリジナルの塗装をいかして何度も綺麗に直す事も可能

デントリペアで修理した箇所は、塗膜もパネルも弾性が残っている事が多い為、同じ部分や近い位置にヘコミが出来てしまっても パネルが元に戻る状態であればそのままの塗装をいかしたへこみ修理が可能です。

※パテが入っていない状態の再塗装であればデントリペアが可能な場合は多数あります。

デントリペアと板金塗装の違い