デントリペアと板金塗装(鈑金塗装)はどう違うのか
『デントリペア』と『板金塗装(鈑金塗装)』、どちらも車のへこみを直す事が可能ですが、 それぞれに長所と短所がありますので、ヘコミの状態に合わせて一番ベストな修理方法をお選びください。
デントリペアと板金塗装の違い
デントリペア | 板金塗装 | |
修理時間 | ヘコミの大きさ・位置・難易度にも左右されますが、小さいヘコミ(エクボ)であれば、条件次第で5分から10分で修理も可能です。修理に必要な下準備や内貼り等脱着作業が必要な場合もありますので通常30分から2時間程度とお考えください。 ※難しいヘコミ、ビッグデント、リペア箇所が多い等、時間がかかると判断した場合は、1日から数日お預かりする場合もあります。 |
一般的な修理の流れは、ヘコミをならす⇒パテを付けて乾燥させる⇒パテ整形してサフェーサを吹き乾燥させる⇒サフェーサを研いで塗装をして乾燥させる⇒磨いて終了です。乾燥させる工程が必須ですので、通常の板金塗装では数日は必要となります。 |
修理金額・価格 | オリジナルの塗装をいかす事が可能なので、作業工程、材料費、設備費等を抑え低価格を実現可能です。ヘコミによって様々ですが、通常のデントリペアでは1万円から3万円程度、綺麗な修理を主とする板金塗装屋さんの料金の1/4から2/3程度となります。 | 修理の位置や損害状況、塗装の種類によって様々ですが、数万円から数十万円になる場合もあります。 |
修理の可否 | オリジナルの塗装をいかす絶対条件があるので、塗装の割れや剥がれが激しいヘコミの場合は、修理が困難な場合が多くあります。小さい塗装のキズはタッチペンでの補修を行う事でヘコミを塗らずに修理する事も可能ですが、板金塗装に比べると作業の許容範囲は限られます。 | 再塗装が前提ですので、板金整形やパテ付け、部品交換や溶接によるパネル交換は自由自在で、何度でもやり直しが効くので、(近年のパネルはそうもいきませんが)修理の可能性は無限大ともいえます。 |
修理の品質 | オリジナルの塗装をいかした修理ですので、色や塗装の肌も基本的に変わりません。 大きさや深さによっても様々ですが、通常のヘコミを適切な技術で直した場合、修理箇所を特定するのはプロでも困難となります。 塗装の『深いキズ』『割れ』『欠け』等はそのまま残ってしまいます。 |
パテ整形と再塗装が必須ですので、『塗装肌の違い』『色の違い』等が起きる事もあります。腕のいい職人さんに修理を依頼した場合は美しい仕上がりが期待できますが、安価に修理をした場合は『ボカシ際』『研ぎ跡』等が発生したり、時間が経つと『パテ跡』が現れる場合もあります。 塗装がかかる部分に『キズ』『塗膜割れ』『欠け』等がある場合でも、料金次第で綺麗に修理可能です。 |
板金塗装の作業工程
1.左フロントフェンダーフェンダーアーチ損傷部分の修理について板金工程でのご説明です。プレスラインの変形や塗装の剥がれによる損傷が見られます。
2.損傷確認板金や塗装をしやすいように、フェンダーやその他の部分に付属している様々な部品を取り外します。
3.板金整形ドリーと呼ばれる金属の塊を裏にあて、表からハンマーで綺麗に成形していきます。
4.絞り板金特殊なハンマーを使用し適切に絞りながら仕上げをします。鉄板の変形が激しい場合はガス等を使い絞ります。
5.板金終了歪みを広げないよう小さく綺麗にまとめ、塗装をはがした端部分は薄くテーパー上になだらかに削ります。
6.パテ付けパテは可能な限り薄く使用しますが、上の板金工程が荒いとパテの厚みが増して、パテ痩せ、割れ、剥がれ等の原因になります。
7.パテ整形慎重かつ大胆に確実な整形をしていきます。必要に応じて6~7を繰り返し行いますので、ここではかなり時間がかかる場合もあります。
8.サフェーサ塗装塗装の下地とも呼ばれ、パテと塗装の際をなじませたり、上塗り塗装の密着性を高めたりします。乾燥にはある程度時間がかかります。
9.ラッカー(スポット)パテサフェーサでは埋まりきらなかったパテの粗を細かく埋めていきます。
10.サフェーサ研ぎラッカーパテをさらに十分に乾燥させてから、サフェーサと共に綺麗に研いでいきます。必要に応じて8~10を繰り返す。
11.サフェーサ再塗装研ぎ終わったら最終的にサフェーサーを塗装して乾燥から研磨を行います。
12.下地処理終了この状態で粗が残っていたり、乾燥が甘かったりすると塗装後に修理跡が出てしまいます。
13.塗料調色調色は色によって様々ですがここで失敗をすれば色違いが露呈してしまいますので、慎重に時間をかけて行います。
14.塗料3コートパールですので、左のカラーコートと、右のパールコートを用意します。ボカシ塗装やクリア塗装等の用意は塗装の乾燥中に行ったりします。
15.塗装ブースでマスキング塗装をしない部分に色のミストが散らないように車全体をカバーします。ボカシ塗装が必要な場合、隣接パネルを塗装する事もあります。
16.カラーコート塗装塗装面の脱脂を行い、カラーコートを下地が透けないようになるまで2~3回塗り重ねます。ホコリがついた場合は丁寧に取り除きます。
17.パールコート塗装パールコートは塗り重ねの回数で色違いが起こりますので、調色時に決めた回数(通常2~3回程度)塗り重ねます。
18.ボカシ塗装パールにカラーを少し混ぜて、元の塗装とカラーコートとパールコートの重なり部分が目立たないよう軽く塗っていきます。
19.クリア塗装カラーコートとパールコートの上からクリアを塗装する事で艶を出していきます。塗料の吹き方で肌が変わりますので慎重に塗装します。
20.塗装終了・乾燥2~3回塗り重ねたら時間をかけてカラーコートとパールコートをしっかりと乾燥させます。
21.ホコリ等ブツの研磨塗装中に、ホコリ等の付着で出来たブツを、1000~2000番程度のペーパーで部分研磨して肌になじませます。
22.バフによる磨き中目コンパウンドから超微粒子コンパウンドまで、しっかりと使い分けて、研磨した部分を重点的に全体を綺麗に磨き、塗装肌を整えます。
23.組み付け・板金塗装終了板金前に外しておいた部品等を組み付けて【板金塗装】完成です。
デントリペアの作業工程
1.右フロントフェンダー
デントリペア(へこみ修理)例デントリペア前にヘコミの確認です。塗装に『割れ』『剥がれ』等が無いかチェックし、修理の可否を判断します。2.デントリペア前のご説明ラインボードを使用して、線が綺麗に映り込む様に修理していきます。
3.デントリペア・プッシングデントリペアでは、専用の道具を使用して、ヘコミを裏側から慎重に押し出します。失敗をしたら綺麗に修理不可能となる非常に難しい技術です。
4.タップダウン作業デントリペアは、専用のポンチとハンマーを使用して、高くなった部分の調整をする事もあります。こちらも非常に高度な技術です。
5.デントリペア中デントリペアは、一気に裏から押してしまうと塗装が割れたりはがれたりしてしまいますので、数百回?時には数千回と繰り返し裏から押して直します。
6.デントリペア後に磨き作業(必要な場合のみ)ヘコミに伴うキズを消したり大きなへこみ修理は、磨き作業が必要となる場合もあります。
通常のデントリペアの場合はほとんどの場合不要となります。7.デントリペア終了・チェックラインボードを用いて修理後に厳しいチェックを行います。あらゆる方法でご確認していただき、ご納得いただけたら修理完了です。